Cast

TODD HAYNES |監督|トッド・ヘインズ

1961年ロサンジェルス生まれ。10代から映画に関心を持ち、高校時代に最初の短編『The Suicide』を製作、大学時代にはアルチュール・ランボーにインスパイアされた中編『Assassins: A Film Concerning Rimbaud』などを製作した。その後、ニューヨークに移り、88年にはバービー人形を使ってカレン・カーペンター(カーペンターズの妹)の最後の日々を描いた中編『Superstar: The Karen Carpenter Story』で注目される。ジャン・ジュネの小説「薔薇の奇跡」を原作とした長編デビュー作『ポイズン』を91年に発表以来、ヴィレッジ・ヴォイス誌が
90年代最高の映画に選んだ『SAFE』(95)、70年代グラムロックのスーパースターとなった青年を描いた『ベルベット・ゴールドマイン』(98)、ダグラス・サーク監督の『天はすべて許し給う』にオマージュを捧げた『エデンより彼方に』(02)、6人の俳優にボブ・ディランを演じさせてディランの半生を描いた『アイム・ノット・ゼア』(07)と、アカデミー賞はじめ国際的に高く評価される作品を次々に生み出している。

フィルモグラフィー*長編作品のみ ()内は原題|主な出演者|主な受賞歴

  • 1991 ポイズン (Poison)
  • 1995 SAFE (Safe)
  • 1998 ベルベット・ゴールドマイン (Velvet Goldmine)
  • 2002 エデンより彼方に (Far from Heaven)

フィルモグラフィー*長編作品のみ ()内は原題|主な出演者|主な受賞歴

  • 2007 アイム・ノット・ゼア (I'm Not There)
  • 2011 ミルドレッド・ピアース 幸せの代償 Mildred Pierce *テレビドラマ
  • 2015 キャロル Carol *本作

PATRICIA HIGHSMITH |原作|パトリシア・ハイスミス(1921-1995)

テキサス州フォートワースに生まれ、ニューヨークで育ち、十代の頃から作家を志した。最初の小説「見知らぬ乗客」(50)は、出版されるとすぐにサスペンス映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコックの目に留まり、映画化。映画『見知らぬ乗客』が51年に公開されると、その成功によってハイスミスは、本人の望むところではなかったが、“サスペンス作家”と呼ばれることになる。長編第3作の「太陽がいっぱい」(55)も映画化され(60年公開)、人気作家に。他にも数多くが映画化され、ハイスミス原作の映画は『アメリカの友人』、『ふくろうの叫び』、『ギリシャに消えた嘘』など20作以上にのぼる。ハイスミスの小説は、唯一、本作『キャロル』の原作「The Price of Salt(よろこびの代償)」(52)だけがこれまで邦訳されていなかったが、映画の公開によって邦訳の出版が決定した。

唯一、邦訳されていなかった原作「The Price of Salt」とは?

ハイスミスの第2作「The Price of Salt」は、1952年に“クレア・モーガン”という別名義で出版された。それから30数年後の1984年、60代になったハイスミスは、自身の名前でタイトルも元の「Carol」に戻して出版。89年5月版に本人が書いているあとがきによれば、物語の着想を得たのは1948年のこと。「見知らぬ乗客」を書き終えていたものの出版はまだ。手持ちのお金が足りなくなり、デパートのおもちゃ売り場でクリスマス期間のみの仕事に就いた。そこで「毛皮に身を包んだエレガントな金髪女性」を目にし、アイディアを得る。8ページのストーリーはすぐ書き上げたものの体調を崩し、「少し寝かして」おくことにした。

なぜ別名義で発表したのか?

ハイスミスは51年にこの小説を書き終える。しかしその頃「見知らぬ乗客」の成功によって“サスペンス作家”のレッテルを貼られたことから、もしこの“女性同士の恋愛”の物語を発表すればまた別のレッテルを貼られるのではと恐れ、“クレア・モーガン”という名義で出版することを決める。だが当時は、同性愛への偏見が強かったため「見知らぬ乗客」の出版社はこの小説を拒否。52年に別の出版社からハードカバーが刊行された。

100万部を超える大ベストセラーに。

その翌年、ペーパーバック版が出版されると、当時としては画期的な100万部を超える大ベストセラーに。同性愛者の物語は悲劇に終わるのが常だった時代にあって、ある種のハッピーエンドで終わる「The Price of Salt」は大反響を呼び、出版社にはファンレターが山のように届いた。その多くは同性愛の女性・男性からで「これこそ私の物語です!」「私たちはもうもう孤独じゃない!」という内容だった。もしもハイスミスが体調を崩さず、この小説を早く書き上げ、「見知らぬ乗客」の成功前に出版が決まっていたら?彼女は本名で出版し、人生も変わっていたかもしれない。

PHYLLIS NAGY |脚本|フィリス・ナジー

脚本家・劇作家・監督もこなす。TVドラマ「ミセス・ハリスの犯罪」(05)では脚本・監督を務め、トロント国際映画祭でプレミア上映され、エミー賞12部門(脚本賞と監督賞含む)にノミネートされ、ゴールデン・グローブ賞3部門と全米俳優組合賞2部門にノミネートされた。ヴァラエティ紙で“注目の作家”の一人としても取り上げられている。

ELIZABETH KARLSEN |製作|エリザベス・カールセン

1948年アメリカ生まれ。トッド・ヘインズの作品に携わり多くの賞を受賞。『エデンより彼方に』(02)、『アイム・ノット・ゼア』(07)、「ミルドレッド・ピアース 幸せの代償」(11/TVドラマ)がある。『エデンより彼方に』ではベネチア国際映画祭の最優秀撮影賞を受賞、2003年アカデミー賞最優秀撮影賞にノミネートされた。その他主な代表作は、『ヴァージン・スーサイズ』(99/ソフィア・コッポラ監督)、『エリン・ブロコビッチ』(00/スティーヴン・ソダーバーグ監督)、『KEN PARK ケン パーク』(02/ラリー・クラーク共同監督)、『今宵、フィッツジェラルド劇場で』(06/ロバート・アルトマン監督)など。

ED LACHMAN |撮影|エド・ラックマン

過去に手掛けた『クライング・ゲーム』(92/ニール・ジョーダン監督)、)はアカデミー賞6部門にノミネート、最優秀脚本賞を受賞したほか、『リトル・ヴォイス』(98/マーク・ハーマン監督)では、ゴールデン・グローブ賞6部門、アカデミー賞1部門、英国アカデミー賞で最優秀作品賞を含む6部門にノミネートされた。そのほかの代表作に『ラヴェンダーの咲く庭で』(04/チャールズ・ダンス監督)、『ビザンチウム』(12/ニール・ジョーダン監督)、カンヌ国際映画祭のパルム・ドール候補になった『ネオン・バイブル』(95/テレンス・デイヴィス監督)などがある。

SANDY POWELL |衣装|サンディ・パウエル

1960年イギリス、ロンドン生まれ。衣装デザイナー。これまでに『恋におちたシェイクスピア』(98/ジョン・マッデン監督)、『アビエイター』(04/マーティン・スコセッシ監督)、『ヴィクトリア女王世紀の愛』(09/ジャン=マルク・ヴァレ監督)の3作品でアカデミー衣装デザイン賞に輝く。11年には映画業界の貢献を讃えられ大英帝国勲章を贈られた。主にマーティン・スコセッシ監督作品を多く手がけ、『ギャング・オブ・ニューヨーク』(01)、『ディパーテッド』(06)、『シャッター アイランド』(09)、『ヒューゴの不思議な発明』 (11)、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(13)など。トッド・ヘインズ監督作品は、『ベルベット・ゴールドマイン』(98)、『エデンより彼方に』(02)を手がける。その他の主な作品は『オルランド』(92/サリー・ポッター監督)、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(94/ニール・ジョーダン監督)、『ことの終わり』(99/ニール・ジョーダン監督)、ヘンダーソン夫人の贈り物』(05/スティーヴン・フリアーズ監督)、『ブーリン家の姉妹』(08/ジャスティン・チャドウィック監督)、『シンデレラ』(15/ケネス・ブラナー監督)など。

JUDY BECKER |美術監督|ジュディ・ベッカー

本作は『アイム・ノット・ゼア』(07)に続くトッド・ヘインズ監督2作目。また『アメリカン・ハッスル』(13)、『世界にひとつのプレイブック』(12)、『ザ・ファイター』(10)などのデヴィッド・O・ラッセル監督作品も多く手掛けてきたことで知られる。そのほかの代表作に『ブロークバック・マウンテン』(05/アン・リー監督)、『少年は残酷な弓を射る』(11/リン・ラムジー監督)、『SHAME -シェイム-』(11/スティーヴ・マックィーン監督)などがある。レナ・ダナム監督の『GIRLS/ガールズ』(12)のパイロット版のデザインを手掛け美術監督組合賞を受賞した。

CARTER BURWELL |音楽|カーター・バーウェル

1955年アメリカ生まれ。コーエン兄弟の『ファーゴ』(98)や『トワイライト~初恋~』(08/キャサリン・ハードウィック監督)他多くの映画音楽を手掛けるカーター・バーウェルは、スパイク・ジョーンズ監督やコーエン兄弟の全ての作品において音楽を担当していることで知られている。トッド・ヘインズ監督作品では『ベルベッド・ゴールドマイン』(98)を担当。『オーブラザ―』(00/コーエン兄弟)では英国アカデミー賞作曲賞に、『かいじゅうたちのいるところ』(09/スパイク・ジョーンズ監督)では放送映画批評家協会賞音楽賞とゴールデン・グローブ賞にノミネートされている。

CARTER BURWELL |音楽|カーター・バーウェル

主な代表作品にトッド・ヘインズ監督の『アイム・ノット・ゼア』(07)をはじめ、『ヒューゴの不思議な発明』(11/マーティン・スコセッシ監督)、ウェス・アンダーソン監督『ムーンライズ・キングダム』(12)、『グランド・ブタペスト・ホテル』(13)、『6才のボクが、大人になるまで。』(14/リチャード・リンクレイター監督)、『ヴィンセントが教えてくれたこと』(14/セオドア・メルフィ監督)がある。

  • 監督
  • 原作者
  • 脚本⁄撮影⁄製作
  • 衣装⁄美術監督
  • 音楽⁄音楽監修